森林文化学習会 10月

R06年度学習会 ~身近な自然を見直しましょう~   [森林観察学習部会]

2024.10.24

後半のテキストは、下記に決まりました。
<今年度後半の使用テキスト>
「植物の形には意味がある」園池公毅著 ベル出版発行

10月の学習項目は以下の通りでした。
〇10月10日 休み
〇10月24日
第1章 葉はなぜ平たいのか…………………井村j、矢崎

11月の学習予定
〇11月14日 場所:中央公民館いきがいサロン
第2章 葉の断面の形を考えてみよう………吉江
第3章 葉の厚みの多様性を考える…………井村e
〇11月28日 場所:ゆいわーく茅野301会議室
第4章 葉の大きさと形の意味………………吉田
第5章 茎はなぜ長細いのか…………………渡邊

毎月このコーナーでは、学習した内容から、興味深い話題を抜粋して掲載していきます。

植物の形には意味がある
第1章 葉はなぜ平たいのか  矢崎恵子(会員)の資料より抜粋

3.葉の平たい目的
葉の主な機能→光合成→二酸化炭素・水・太陽光→有機物質(生物に必要な栄養)
6CO2+12H2O+光エネルギー → C2H12O6+6H2O+6O2
〇太陽光エネルギーは、地球上の気象や生物の営みにとって必要不可欠であるが、同じ物質量であれば表面積が大きい方が有利
=葉っぱは平たい方が有利。太陽光パネルは広い面積が必要(※1メガソーラー)。
=「太陽光のエネルギーは薄い」(面積当たりの量が少ないという意味か?)
※1太陽光発電の中でも出力が1MW(1,000KW)を超える大規模システムをメガソーラーという。
一般的に、1,000KW以上のメガソーラーを設置するには、約2ヘクタールの土地が必要。
4.平たくない葉の目的
<サボテンの例>
光を多く集め光合成をおこなうために、葉は平たい方が有利。
では、独特の形をしたサボテンの葉はトゲの部分だが、なぜ平たくないのか?
サボテンが光合成をおこなっているのは茎の部分でやはり平たくない。※2
サボテンの生育場所は水の少ない砂漠。そのような環境では光合成の効率は水に左右される。ので、水に見合う光の量を集めるには、葉を大きく広げる必要はない。逆に水をいかに確保するかが重要。
なので過酷な砂漠に生育するサボテンの形は、水を貯蔵するのに有利な形になっており、水の蒸散を防ぐために葉は平たくなくトゲ状になっている。
結果的に、植物は生き残るため、周囲の環境に合わせて一番効率の良い形をとるように進化してきた。
※2リービッヒの最小律:植物の成長は、必要な栄養素のうち、量が最も少ないものに左右される。
(窒素・リン酸・カリ、水・日光・大気 )

タマサボテンの形体(球状):水を貯蔵するのに有利な形

トゲの役割:
①動物から身を守る(食害回避)
②温度調節―強力な紫外線や温度変化から身を守る
③繁殖範囲の拡大
④大気中水分の捕集 など
葉を無くすことで表面積を減らし、蒸散による水の損失を抑える
茎:光合成(昼・夜2段階に分けておこなう・CAM型光合成)
夜:気孔を開き、空気中から取り込んだ二酸化炭素をリンゴ酸に変換して体にため込む。
昼:体に貯めたリンゴ酸から再び二酸化炭素を取り出し光合成をおこなう。
※砂漠や着生環境などの水分ストレスの多発する環境下で生育する植物にみられる。
サボテンの形は過酷な環境下で生き抜くため、肥大した茎の中に貯水組織が発達していて、細胞の中に水を溜められる(サボテンの体は貯水タンク、これは主に多糖類から構成され粘液を含み、水を引き付ける性質をもつ。
参考:中部大学 堀部研究室:サボテンの秘密(形態・生理的特徴)

(更新日 : 2024年10月30日)