森林文化学習会 10月

絵でわかる生物多様性

R04年度学習会 ~生物多様性への理解~   [森林観察学習部会]

2022.10.6 10.20

「生物多様性への理解」をテーマに、今年度前半は、鷲谷いずみ著「絵でわかる生物多様性」の学習を
10月6日に前半が終了し、20日からは、藤井一至著「大地の五億年」を学習します。

10月の学習項目は以下の通りでした。
〇10月6日
第6章 生物多様性の保全……………………井村j
〇10月20日
「大地の五億年」プロローグ…………………本村

11月のの学習項目は以下の通りでした。
〇11月10日
第1章 土が来た道:逆境を乗り越えた植物たち
地球に土ができるまで~ ……………………井村e
ジェラシック・ソイル~ ……………………吉田n
〇11月24日
第1章 土が来た道:逆境を乗り越えた植物たち
氷の世界の森と土~ …………………………池田
第2章 土が育む動物たち:微生物から恐竜まで
栄養分をかき集める生き物たち~ …………中野

毎月このコーナーでは、学習した内容から、興味深い話題を抜粋して掲載していきます。

第5章 生物多様性の保全(実践の多様性)    井村淳一さん(会員)の資料より抜粋

6.1 生物多様性保全と市民科学
市民科学プロジェクトは、一般市民が科学研究活動に参加し、知的営為や地域的な知識をもって、あるいは所有するツールやリソースを用いて、能動的に科学に貢献することを指す。市民参加者は研究者に対して実験データや便益を提供、新たな課題を提起し、共同して科学の新しい文化を創造する。参加者は自ら価値を創造する一方で、魅力的な方法によって新しい知識と技能を習得し、研究について理解を深めることができる。このオープンでネットワーク化された学際的な活動モデルにより、科学・社会・政策の協働が進み、エビデンスに基づく意思決定を前提とした民主的な研究が行われる。
実際に進行しているプロジェクトに以下がある。
<eBird>
アメリカのコーネル大学鳥類学研究室が運営する市民参加型の鳥類調査のプラットフォームであり、世界的な野鳥観察情報データベースです。
2021年11月、その日本語版「eBird Japan」がオープンした。野鳥観察結果(チェックリスト)を簡単に記録・投稿できる便利な機能や、野鳥の識別をサポートするアプリも用意されている。
<自然しらべ>
公益財団法人 日本自然保護協会が、毎年テーマを決めて実施している自然調査事業。
<セイヨウオオマルハナバチのモニタリングプログラム>
見つけたら教えて & つかまえてください!
2007年 北海道道庁と東京大学保全生態学研究室と共同でセイヨウオオマルハナバチバスターズ活動を開始した。
セイヨウオオマルハナバチは1992年に導入が開始され、ハウス栽培の受粉を助ける昆虫として利用されている。1996年に初めて野外で自然巣が発見された後、急激に野外での目撃数が増えている。セイヨウオオマルハナバチの高い増殖力と競争力がもたらす在来生態系への懸念から、環境省は2006年「特定外来生物」に指定した。

6.2 絶滅危惧種の保全と再導入・再野生化
アリオンゴマシジミがある地域から絶滅したが、その理由を科学的に解明し、再導入に成功した。

6.3 コウノトリ(東アジア個体群の再生)
農薬等の影響で、1980年代には、日本に野生で生息する個体は確認できなくなった。  兵庫県豊岡市で野生復帰の取り組みが行われた。
ロシアから譲り受けた個体をもとに「コウノトリ育む」農法を実践し、野生復帰の取り組みを環境保全型農業や環境産業の振興と結びつけ発展させている。

6.4 土壌シードバンクを活用した自然再生事業
霞ヶ浦の湖岸植生帯再生事業は、コンクリートで囲まれ、失われたヨシ原や水草帯などの湖岸植生を回復させる事業。
〇直立護岸の湖側に変化に富んだ微地形をもつ緩傾斜の浜を造成
〇湖の底から採集された浚渫土(シードバンク)を薄くまく
シードバンク:湖底の泥中には水草や湿地の植物の生きたタネが多く含まれているタネの貯蔵庫
〇工事後、植生は予想通り速やかに再生し、シードバンクが植生の再生にとり有効であることが証明された。数十年間、水辺でみられなかった水性植物が復活したことから、タネが長期にわたって湖底の泥の中で生き続けていたことが分かった。

(更新日 : 2022年10月29日)