~今に伝わる縄文文化~
[森林観察学習部会]
2022.06.12
当初、昨年度1月に実施予定であった「冬の研修会」を、この度尖石縄文考古館の山科晢さんを講師に迎え、会場を青少年自然の森管理棟内会議室に替えて行いました。
講義は、“縄文時代はどんな時代だったか?”から始まり、“旬を食べてた縄文人の食生活・食文化”、“日本のモノづくりの原点を示す縄文土器”、“他者へのいたわりがあった介護社会”など、多岐にわたる話が展開されました。以下にその概要を記します。
縄文文化は、日本文化の基層とも言われ、四季の食材を認知して旬を食べる生活スタイルは、動物や貝・キノコなどの季節に応じた食材を土器で「煮込む」ことで、「うまみ」成分を取り出す、調味料として活用する食文化を生み出し、それは長い歴史を経て世界無形文化遺産「和食」の重要な要素として結実している。
この調理法に使う道具「土器」は、日本のモノづくりの原点を示し、その立体装飾が発達した造形、こだわりの造形は世界的にも注目されている。土器の中には稚拙な造形もあるが、それは若い年齢層の練習用の作品かもしれず、土器づくりを次世代に継承していた証とも考えられる。
縄文時代の発掘された人骨を調べると、骨折や変形性脊椎症、麻痺などを患っていた痕跡が見られる人骨もあり、縄文時代は、そうした労働不能や「寝たきり」状態の人を見捨てずに介護していた社会であったことが窺い知れる。
感想として、周りを新緑の木々に囲まれた環境の会議室での聴講は、趣が変わって良かったと思いますが、参加者が13名(うちスタッフ2名)と若干少なかったのは残念でした。今回の研修会では、縄文時代について広い範囲の話が聞けただけに、一人でも多くの会員が参加し聴いてほしかったのですが・・・。
案内・告知の方法など、今後の課題となる反省点です。
(更新日 : 2022年06月29日)