11月17日 森林文化見学会

発電所

~大型バイオマス発電所を見学し、林業の近未来を学ぶ~  

[森林観察学習部会]

2021.11.17

11月17日、晴天下、大型バスを借切り塩尻市にある「F-POWER」及び「長野県林業総合センター」を見学しました。会員13名、一般8名で総勢21名が参加しました。

「F-POWER」は産学官共同、即ち産は征矢野建材、学は東京大学と信州大学、官は長野県と塩尻市で、平成24年発足したバイオマス利用を目的としたプロジェクトです。具体的には長野県の間伐材(主にアカマツ、広葉樹)を利用して製材所、発電所を新設するものです。流通を含めた総合的、先駆的プロジェクトで林業の再生を目指して130億を投資し、素材生産・運搬の雇用も含めて400名の雇用を見込んでスタートしています。平成27年に製材所、昨年に発電所が稼働し一部を残し完成している。素材である間伐材(丸太)を半径50Km以内から年間約20万㎥集め、良質材は製材部門でフロアー材、内装材、家具材を製造、製材時の残材と良質材以外はチップにし発電に向けられる。

我々が見学した印象は近代的な立派な大規模施設であり国内でもこの種ではトップクラスであろう。
しかし話を伺うと未解決問題が多々あるようだ。製材、発電は需要が見通せるが、計画していたオガコを使用したチップ工場は需要が不明瞭で未完。加えて発電時の熱利用は温水の需要が見通せず大半が利用されていない。素材も価格問題で満足に集まらず工場稼働率が計画以下でまだ赤字のようだ。今後、時間を経て問題は解決に向かう事を期待するがこのプロジェクトの成否は予測し難い。

個人的見解として間伐材を利用するのなら地産地消が必要だがF-POWERは規模が大きすぎるのではと思った。又流通を含めたシステムとしてのCO2削減効果を知りたかった。いずれにせよ木質バイオマス利用による温暖化対策は暗中模索が現実のようだと感じた。
長野県林業総合センターでは、多くの会員が研修でお世話になっており、F-POWERと隣接している事もありセンターの概要を再確認するのも有意義と考え訪問した。訪問に先立ちセンターのHPを閲覧中に2030年を見通した基本計画が今春策定された事を知り今回の説明に加えて頂いた。

種々の分野の計画が示されているが長野県の最大の問題はカラマツ材利用方法の確立であるのが良く理解出来た。

(更新日 : 2021年11月29日)