森林文化学習会 2月

教本

R02年度学習会 ~森林を良く知ろう~    [森林観察学習部会]

2021. 2.4 2.18
2月の学習項目は以下の通りでした。
教本「面白くて眠れなくなる植物学」稲垣栄洋著 PHP研究所
〇2月4日 場所:ゆいわーく茅野 101,102会議室
PartⅡ 面白くて眠れなくなる植物学(後半)………………………………………………中野
PartⅢ 読みだしたらとまらない植物の話(前半)…………………………………………吉江
〇2月18日 場所:ゆいわーく茅野 集会室3
PartⅢ 読みだしたらとまらない植物の話(後半)…………………………………黒田、池田

面白くて眠れなくなる植物学(P116~P139)より抜粋     中野昭彦(会員)

桜のジャージーは何桜?

〇ヤマザクラとソメイヨシノ
ラクビー日本代表のユ二フォーム「桜のジャージ―」、花札の桜は、花と一緒に葉が描かれているので、これはヤマザクラ。ヤマザクラは葉が出てから花が咲き、長い間花を楽しむことができる。一方、お花見の桜はソメイヨシノ。江戸時代中期(1750年)江戸で作られた品種で、葉より先に一面に花が咲く。接ぎ木・挿し木で増やす。早く苗木を育てることが可能。

〇サクラが一斉に咲く理由
個体を分身させて増やしたものを「クローン」という。ソメイヨシノは,エドヒガンザクラとオオシマザクラをかけ合わせてつくった。ソメイヨシノはすべての木が元の木から増やしたクローンなので、一斉に咲き、一斉に散る。

種子の秘密

〇お米はイネのミルク
玄米(イネの種子)は固い殻を取り除き中の種子を取り出したもので、「ぬか」「胚芽」「胚乳」で構成。胚(胚芽):芽になる部分で植物の赤ちゃん胚乳 :胚が成長する為の栄養で、あかちゃんのミルク米の周りの「ぬか」部分を削ったもの⇒「胚芽米」
胚芽も取り除いた胚乳部分のみのもの⇒「白米」
種子は胚乳に貯えた炭水化物を酸素呼吸により分解し、発芽のエネルギーとしている。我々がコメの炭水化物を酸素呼吸により分解し、エネルギーを得ているのと同じである。

〇ダイズとキュウリの共通点
豆(ダイズ)も種子だがイネの種子と違って、胚乳がない。ダイズは種子と同じ大きさの双葉に栄養を貯めている。少しでも芽生えを大きくして、生き残る可能性を高めている。
大豆を含むマメ科の植物は胚乳を持たず『無胚乳種子』と言われている。キュウリ・カボチャ等のウリ科の種子も無胚乳種子。

〇アズキの芽生え
小豆(アズキ)の発芽の双葉は地面の下にある。双葉は発芽の為のエネルギータンクに過ぎず地面の上には出てこない。

〇種子のエネルギー源の違い
イネの種子(米)は炭水化物を主なエネルギー源。
ダイズの種子(豆)は炭水化物とタンパク質。ダイズが畑の肉と言われる所以。
なぜダイズの種子がタンパク質を含むのか?
マメ科の植物は、根粒菌と共生し空気中の窒素を固定してもらっている。しかし発芽の時には、窒素固定ができない為、種子の中に窒素分であるタンパク質を蓄えている。また、ダイズは脂質も含むので食用油 (サラダ油)の原料となる。
トウモロコシ、ヒマワリ、ナタネ、ゴマの種子は発芽エネルギーとして、脂質を多く含む。脂質は炭水化物の2倍以上のエネルギー源となる。トウモロコシ・ヒマワリは、脂質を使うことにより、スタートの芽生えを大きくして短期間で大きく育てることができる。
ナタネ・ゴマはエネルギー効率の高い脂質を含み、1粒当たりの種子の大きさを小さくし、種子の数を多くしている。

〇脂質は有利?
エネルギーを生む脂質を蓄えた種子を作るにはエネルギーが必要で、親植物に負担が掛かる。置かれた環境に合わせて、炭水化物・タンパク質・脂質の発芽エネルギーをバランスよく使っている

(更新日 : 2021年02月28日)