森林文化学習会 1月

教本

R02年度学習会 ~森林を良く知ろう~    [森林観察学習部会]

2021.1.14  1.28
1月の学習項目は以下の通りでした。
教本「面白くて眠れなくなる植物学」稲垣栄洋著 PHP研究所
〇1月14日 場所:ゆいわーく茅野 101,102会議室
PartⅠ すごい植物の話(後半)…………………………………………石田、本村
〇1月28日 場所:ゆいわーく茅野 101,102会議室
PartⅡ 面白くて眠れなくなる植物学(前半)…………………………定成、井村e
 
2月の学習予定
〇2月4日 場所:ゆいわーく茅野 101,102会議室
PartⅡ 面白くて眠れなくなる植物学(後半)…………………………中野
PartⅢ 読みだしたらとまらない植物の話(前半)……………………吉江
〇2月18日 場所:ゆいわーく茅野 集会室3
PartⅢ 読みだしたらとまらない植物の話(後半)……………………黒田、池田

面白くて眠れなくなる植物学(P104~P115) 井村悦子(会員

植物が動かない理由
〇植物は食べ物を捜さない
植物は、動く必要がない。動かなくても生きていける。
それは、植物は太陽の光のエネルギーを使って水と二酸化炭素から生きるために必要な糖分を作り出せる。これが光合成である。
また植物は、土の中の栄養素を吸収し、生きる上での必要な物質をすべて作ることができる。独立栄養生物これに対して、動物は、従属栄養生物植物と動物で、基本的生きる仕組みに大きな違いはない。生物誕生の38憶年前には違いはなく、同じ祖先から進化してきた。
 〇葉緑体の不思議
植物と動物の大きな違い⇒細胞内に葉緑体があること。
葉緑体は、どのようにして作られたか?
普通DNAは細胞の核の中にあるが、葉緑体は、核とは別にDNAを持ち、自分で増えることができる。このことから、遠い昔、葉緑体は独立した単細胞生物だった。そして、より大きな単細胞生物に取り込まれ、細胞の中に共生するようになったのではないか。
⇒細胞内共生説
大きな単細胞生物と光合成をおこなう単細胞生物の出会いによって、植物の祖先が生まれた。

植物はなぜ緑色をしているのか?
葉緑体と葉緑素
葉っぱの中には葉緑体があり、その葉緑体の中には緑色の色素がたくさんある。この色素は葉緑素と言われる。
葉緑素:(英語)クロロフィル←ギリシャ語 クロロス(緑の意味)+フィロン(葉)
葉緑体が光合成を行う工場としたら、葉緑素は光合成を行う装置に例えられる。
太陽の光と光合成
太陽の光はさまざまな色が混じっている。
葉緑素が光合成をするために、主に青色(波長が短い)、赤い色、黄色(波長が長い)を使い、これらは葉緑素に吸収される。このため、中間の緑色は余り利用されないで反射される。⇒我々の目には緑色に見える。
緑色でない葉(赤ジソ、紫キャベツ)もあるが、葉緑素以外の色素が入っているから緑色が隠れている。
植物プランクトンと赤色の海藻
浅い海に生える海藻 陸上植物と同じに緑色の光を使わない。緑藻類
深い海に生える海藻 深く潜ると海水が赤色を吸収する。赤色を使えないので、青い色を吸収する光合成色素を持っている。青色の光を使い、赤色と緑色を反射するので褐色に見える。褐藻類
水面に植物プランクトンがあると青色も吸収されてしまうので、仕方なく光合成には適しない緑色を吸収する光合成色素を持ち、緑色を吸収し、赤色を反射するので、赤く見える。紅藻類
陸上にある植物は、浅瀬にある緑藻類が、陸上が隆起して浅瀬が干上がっていく過程で陸上への適応に迫られて進化したので、陸上植物は緑色をしている。

植物の血液型は?
植物の血液型?
植物には血はない。
植物がもつクロロフィル(葉緑素)は、血液の赤血球に含まれるヘモグロビンに似ている。
基本的な構造は同じで、分子構造の中央がクロロフィルはマグネシウムで、ヘモグロビンは鉄。P113図参照
人間の血液型は血液の中の糖タンパクの種類によって決まる。植物の中には1割くらいは人間と似た糖タンパクを持つことが知られている。植物を血液検査すると、O型(キャベツ)、AB型(ソバ)が多い。
根粒菌との共生関係
マメ科の植物は、レグヘモグロビンというヘモグロビンとよく似た物質を持っている。
マメ科の植物は根粒菌というバクテリアと共生している。(根のこぶのようなものが根粒菌のすみかの根粒)
根粒菌は空気中の窒素分を固定して植物に与えるので、窒素の少ないやせた土地でも成長が可能。
マメ科植物の戦略
根粒菌が窒素を固定するためには多大なエネルギーが必要で、そのエネルギーを生み出すために酸素呼吸をする。
酸素を必要なのだが、窒素固定をする酵素は酸素があると活性を失ってしまう。そのため、マメ科植物は根粒菌のために酸素を運び、余分な酸素は素早く取り除かなければならない。
この問題解決のために、マメ科植物はレグヘモグロビンを身につけた。人間のヘモグロビンと似ている。
マメ科植物の新鮮な根粒を切ると、血がにじんだように赤く染まる。これが、レグヘモグロビン。

(更新日 : 2021年01月31日)