森林文化学習会 12月

教本

R02年度学習会 ~森林を良く知ろう~    [森林観察学習部会]

2020.12.03 12.17

12月の学習項目は以下の通りでした。
〇12月3日 場所:ゆいわーく茅野 集会室3
6章 自然に学ぶ「バイオミミクリー」
地球をおおう「生命文明連合」の築…………………………………石田
〇12月17日 場所:ゆいわーく茅野 集会室3
「面白くて眠れなくなる植物学」稲垣栄洋著  PHP研究所
PartⅠすごい植物の話(前半)………………………………………井村j、矢崎
 
1月の学習予定
教本「面白くて眠れなくなる植物学」稲垣栄洋著 PHP研究所
〇1月14日 場所:ゆいわーく茅野 101,102会議室
PartⅠ すごい植物の話(後半)………………………………………石田、本村
〇1月28日 場所:ゆいわーく茅野 101,102会議室
PartⅡ 面白くて眠れなくなる植物学(前半)………………………定成、井村e

面白くて眠れなくなる植物学(P28~47)  矢崎恵子(会員)さんの資料から

≪花は誰のために咲く≫
人間は花に片思いしている・・・植物は人のためではなく種を残すため花を咲かせる。虫に受粉を手伝ってもらうよう、花の形や色などを合理的に進化させてきた。
春先にお花畑ができる理由・・・ナノハナやタンポポなどは、黄色は分かるが花の種類を識別できないアブに花粉を託すので、群生をつくりアブが近場で飛び回り花粉が拡散するよう工夫。
ミツバチは優秀なパートナー・・・ミツバチは同じ種類の花を識別でき、飛翔能力が高い。様々な花はハチに蜜を与え受粉を託し、他の虫には蜜を奪われないような工夫をしている。
花の奥深くに蜜を隠す・・・紫色の花はハチだけに花粉を運ばせるため、虫の能力を試しつつ複雑な花の形に進化。ハチは同じ仕組みの花(同じ種類)を選び花粉を運ぶ。
全ての生物の利己的行動が、人間から見ると助け合っているような、お互いに得になる関係がつくられている。
 
≪ちょうちょうはなぜ、菜の葉に止まるのか?≫
モンシロチョウは「菜の葉」に止まる・・・モンシロチョウはなぜアブラナ科(モンシロチョウの食草)の花ではなく葉に止まるのか?アブラナ科から出る物質を確認できるので、次から次に葉に止まり、産卵する。
昆虫には餌の好き嫌いがある!?・・・昆虫は植物の葉を食べる。植物はなるべく食べられないよう忌避物質や毒物質を用意し防御。昆虫は多くの植物の中からターゲットを決めその植物の作る防御策を破る方法を身につける。生き残るための昆虫と植物の鼬ごっこ。
昆虫と植物の共進化・・・昆虫と植物は特定のライバル関係が作られ、競争しながら共に進化を遂げていく。共進化は敵対する者同士のみに起こるのではなく、蜜蜂のように特定のパートナーシップの結果もある。

≪花の初恋物語≫
最初に花粉を運んだ昆虫・・・最初に花粉を運んだのはコガネムシの仲間? 始めはただ花粉を食べにやってきたが偶然に花粉が体に着き雌の雌しべに着き受粉。風媒花から虫媒花へ発達。
ダーウィンの「忌まわしき謎」・・・昆虫を呼び寄せる被子植物は裸子植物から進化したが、その過程は謎だった。被子植物の先祖はモクレンの仲間といわれ、その花の形は上向きで雄蕊雌蕊がごちゃごちゃ無数に配列、不器用なコガネムシにも動きやすい構造で白い花は目立つ。

≪トリケラトプスの衰退と植物の進化≫
被子植物とトリケラトプス・・・トリケラトプスは牛やサイように首も足も短く頭は下向き。小さな草花を食べるように進化。ジュラ紀の巨大な裸子植物から白亜紀は花を咲かせる被子植物が出現に符合。
被子植物と裸子植物の違い・・・被子植物は虫に花粉を運ばせ、花粉到達から受精までの時間短縮を可能にした。

花の形態 花粉伝達方法 受精までの時間
裸子植物 花弁無し胚珠むき出し 風媒 一年
被子植物 花弁有り胚珠子房内に 虫媒 数時間~数日

被子植物は美しい花びらを進化させた・・・受精が早く進む→世代更新が早く進む→進化のスピードが速まる。
植物は地殻変動や気候変動など急激な環境変化に適応するよう進化。大木になる時間が無いので草から始まり美しい花びらを持つよう進化し、虫たちには花粉を運ばせる仕組みを発達させた。
トリケラトプスの中毒死・・・トリケラトプスは新しいタイプの草花(被子植物)を食べるよう進化してきたが、
対する被子植物は食害を防ぐため毒成分(アルカロイド)を身につけたので、恐竜は中毒死を起こすなど、植物の進化のスピードについていけなくなった。→化石に証拠が見られる。

恐竜絶滅の直接要因は小惑星の衝突とされているが、それ以前から被子植物の進化によって、衰退の道を歩んでいた。

(更新日 : 2021年01月02日)