森林文化学習会 9月

R02年度学習会 ~森林を良く知ろう~    [森林観察学習部会]

2020.09.09 09.17

9月3日から、今年度の森林文化学習会を開催した。
今年度の前半は新型コロナウイルスの感染の影響で実施を控えてきたが、生活の方法にも落ち着きがでてきたので、感染防止に注意を払いながら、9月3日から、今年度の学習会を開始した。
安田 喜憲 先生著作 の「生命文明の世紀へ」(人生地理学と環境考古学の出会い)をテキストにして2回/月の割合で参加者(13名)の輪講形式で計11回実施します。
このテキストを取り上げた背景は、昨年度の学習会後半で取り上げた、テキスト「森林環境2015」の第5章 震災復興と防潮堤 の記述を担当された安田先生が以下のことを述べていて、人間の地球自然環境への関わり方について学んでおきたいとの願いからです。
1.海と共に暮らす生活を取り戻したい
2.森・里・海の命の水の連環を断ち切る防潮堤
3.森の防潮堤を構築する
4.未来の子どもたちに何を残すのか
5.若者の未来を封殺してはいけない

9月の学習項目は以下の通りでした。
〇9月3日
プロローク いまこそ「生命文明」の構築を……………………井村j
〇9月17日
1章 森が育む「声明文明」と「人生地理学」…………………本村・南波
10月の学習予定
〇10月1日
2章 縄文と聴講文明を結ぶ「声明の法」………………………池田・井村e
〇10月15日
3章 命を慈しむ「環太平洋生命文明圏」………………………黒田・井村j

プロローグ  いまこそ「生命文明」の構築を    井村淳一さん(会員)の資料から

9月3日の第1回の学習会では、そのテキストのプロローグとして、以下を学習した。
地球は生命を育み、生命の連鎖をつないでゆく意志を持つ、この意志を受け継ぐためには、
(1)自然を信じ、人間を信じ、太陽や森、山や川や海に祈る心をもつこと
(2)他者の命に対して畏敬の念を持ち、命の源である水の循環系をまもること、
(3)自然の豊かさや生命の連鎖を守るためは、時には自らの命を捨ててもかまわないという気概をもつこと、
(4)自然の資源を使い尽くさないで、循環的に利用すること
(5)自然を守るためには、欲望をコントロールし、「利他の心」「慈悲の心」をもつことが必要で、高度成長期前の日本人はこの5つの掟を守ってきた。これに対し市場原理主義が支配する現代文明は、これとは正反対のことをしてきた。これは地球の意志に反している。と著者は言う。
神が天地を創造し、この宇宙は神の意志によって支配されており、神の存在を科学によって証明しようという情熱が近代ヨーロッパの科学を発展させてきたがそのような「神が宇宙の摂理を作った」と言う考えはすでに破綻しつつある。 著者は「生命を誕生させ持続する地球の意志こそが神ではないのか?」と言う。“宇宙の摂理の中には神があり、その神に「万物の霊長」として選ばれた」のが人間なのだから、人間は地球を好きなように利用し尽くして良のだ”と言うある種の傲慢さを持った文明こそ、物質エネルギー文明である。その物質エネルギー文明は地球環境問題によって行き詰まり、大きな危機に直面しており、このまま物質エネルギー文明が続いたら、人類は生き残れないだろうというところまで追い詰められている。これを回避する唯一の方法は、生命文明にパラダイムシフトすることである。と著者は叫んでいる。古来「自然との共生」を成し遂げてきたアジアの国々、そのアジアの科学技術立国たる日本こそ、その立役者になることができるはずであるし、ならねばならない。このテキストは一人でも多くの日本人にその使命を自覚してもらうための書である。
次回以降は、その生命文明とは何かを様々な事例について学んでゆく。

学習会風景

(更新日 : 2020年10月02日)