森林文化学習会まとめの講演会

~森林を良く知ろう~    [森林観察学習部会]

2020.02.20

森林文化学習会まとめの講演会
2月20日 13:30~15:30
場所:ゆいわーくちの 会議室
演題:長野県環境保全研究所の出前講座
「気候変動の現状と将来予測」
講師:同研究所の浜田崇 主任研究員

参加者は24名で、幣会の会員19名(内学習会メンバー12人)と一般市民5名(内 茅野市役所    環境課から笠原氏が参加)でした。
この講演会は森林観察学習部会の学習会として、毎年度 年間学習した内容の纏めとしてこの時期に実施しているもので、今年度の学習は「異常気象の地球温暖化」を取り上げて学習してきたので、その纏めとして長野県環境保全研究所に、この問題についての長野県の現状や取り組みを含めてお話し頂くことにしました。
講演の内容はまとめて後述します。
講演は内容も広範になりましたが、気候変動の現状が少し理解でき整理できたのではないかと思います。
気候変動に伴う明るい材料等もお話し頂くことにしていましたが、時間の関係で入れられなかったとのことです。内容的には、気温や雨量の上昇で、畑作物の生育が良くなり、作付け期間も伸びていることの事例等を用意していたようです。

<講義内容>

先ず、2019年の世界に広がる異常気象の現状(欧州の熱波、異常高温や、豪州や南米、東南アジアの異常高温、豪雨等)、長野県を襲った台風19号の状況(県内の降水量は観測史上1位の記録更新)や、記録的な暖冬(最近1カ月で平年より2℃以上高い)、少雪(平年の40%がほとんど)、そして日本の近年の猛暑日数の増大や100㎜以上の降水日数が増大していると解説された。
気候とは気温や降水量等の30年間の平均的な状態を言い、気候変動とは平均的な状態が一定の方向に継続して変化したり、周囲的・規則的に変動したり、ある時点を境に平均的な状態が大きく変化したり、或いは平均値は変化しなくても短期変動の幅が増大または減少することを言う。
気候変動の中で、30年に1回以下で発生する気温や降水量の変化を異常気象と呼んでおり、近年は気温や降水についてこの異常気象が増大している。
この気候変動をもたらす主な要因には、自然起源の要因(太陽活動の変化、地球の公転軌道の変動、火山の噴火等)と人為起源の要因(化石燃料起源の温室効果ガスの増加、森林伐採や土地利用の変化、大気汚染物質の排出等)があり、近年の地球温暖化の問題はこの人為起源の要因によると言われており、世界のエネルギー構造の変化(自然エネルギーから化石燃料依存への変化で1950年頃のエネルギー流体革命以降の急激な石油利用拡大)が大きく影響している。CO2濃度は2018年には407ppm(産業革命以前には280ppm、1950年当時は310ppm、2005年で390ppm)へ急増している。
長野市では、過去100年前と比較して気温は約1.3℃上昇、真冬日は2.4日減少、年間猛暑日は約30日増加、熱帯夜は1日増加した。年間降水量や最深積雪には長期的な変化はでていないが、無降水日が30日増加している。
また県内ではリンゴの日焼け、着色不良、レタスの球内抽だい、さくらの開花日が早まるなどの影響がでてきている。
将来予測として、長野県の気温の上昇予測では、温室効果ガスを出さない努力をしっかりした場合(RCP2.6)には2050年時点で+1.9℃、2100年で+2.0℃が予測され、今のように温室効果ガスを出し続けた場合(RCP8.5)では2050年に+2.1℃、
2100年には+4.7℃と予測される。また長野市では今後100年で真夏日が60日、夏日・熱帯夜が50日増加し、産業や生態系等広い分野への大きな影響と健康被害が増大するだろう。降水については滝のように降る雨の回数が増加する一方で、降水の無い日も増加するだろう。降積雪は減ると予測されるが、高い山等では降雪は増加すると思われる。リンゴへの影響として、現在は長野県全体一様に生育適地であるが、平地や盆地はより高温になり不適地域になるだろう。また、松枯れへの影響では、マツノザイセンチュウの生育域が+1℃の気温上昇で190m高度が上昇することを考慮すると、現在は標高800m位まで来ている被害地域は県全域に広がるだろう。ブナや雷鳥の生息域も大幅に狭められてしまうと予測される。
気候変動の影響が大きくなることが予測される中で、気候変動に対する緩和策として人為起源要因の削減により温室効果ガスの排出削減と吸収対策が急務であるが、これは地球全体で取り組まないと効果が出てこない。
一方最大限の緩和策でも避けられない影響を軽減する方策として、渇水対策、治水対策・洪水危機管理、熱中症予防感染症対策、農作物の高温障害対策、生態系の保全等の適応策が急務である。気候変動の影響には地域差があるので、緩和策はグローバルな対策が必要であるが、適応策はローカルな対策が必要であり、気候変動にレジリエントな地域社会の構築が不可欠になる。
自然災害、沿岸域については、ハザードマップの確認、避難経路の確認、治水安全度向上のハードの整備が必要だし、農林水産業では、高温耐性品種への変更や作付け時期の調整、果物の日焼け防止策等が必要になるだろう。
健康面では熱中症対策としてこまめな水分補給やデング熱予防として水たまりを作らない工夫等が必要になる。
水環境や水資源については節水・雨水利用の工夫、自然生態系では森林のモニタリング、野生動物の個体管理等が望まれる。
長野県では、2019年4月から「信州気候変動適応センター」を開設した。県の環境エネルギー課と環境保全研究所が共同で、基盤情報(気候変動の実態や予測情報)の整備と情報発信、適応策の推進と支援を開始している。活用をお願いいたします。