~森林を良く知ろう~ [森林観察学習部会]
2019.8.1 8.22
第4章 2.21世紀の地球はどうなるか 井村淳一さん(会員)の資料から
○世界の気温上昇
IPCCのAR5(第5次評価報告書)では、21世紀末(2081~2100年)の世界平均気温は1986年~2005年の平均気温に対し以下の上昇量になると予側しています。
※RCP(Representative Concentration Pathway:代表的濃度経路)とは?
代表的な温室効果ガスであるCO2は、いったん大気中に排出されると、森林や海洋など生態系に吸収されない限り、大気中に残り続ける。平均気温の上昇は大気中の温室効果ガスの濃度に比例する。大気中に温室効果ガスが累積すればするほど、気温が上昇するということになる。
RCPの2.6や8.5などの数字は、地球温暖化を引き起こす効果(放射強制力と呼ばれる)を表す(単位W/㎡)。値が高いほど、温室効果ガスの濃度が高く、温暖化を引き起こす効果が高いことを示す。
○昇温の大きい範囲
北極域は世界平均より速く温暖化し、陸上における平均的な温暖化は海上よりも大きくなるだろう(非常に高い確信度)
北極域:現在太陽光を良く反射する雪氷が、気温上昇とともに面積を縮小し太陽光の吸収が加速される。
陸域の気温上昇は海上よりも1.4~1.7倍の範囲で上昇するだろう。
海上では温度が上がると蒸発が増え蒸発の気化熱が奪われるので、気温上昇は抑制されるが、陸域は土壌水分に限りがあり蒸発が抑制される。
極端な高温現象が増え、極端な低温現象が減るだろう。熱波の頻度が増加し、より長く続く可能性が高い。
○熱帯域が広がる。
気温が上昇すると大気の循環が以下のように変化する。
ハドレー循環の範囲が拡大し、ウォーカー循環は弱まり 熱帯域が広がる。
○降水量の差が拡大する。
長期的には世界平均気温の上昇とともに世界平均降水量が増加する。
(気温が高くなると飽和水蒸気量が高くなる。==>水蒸気量も増えるので、降水量も増加する。)
高緯度陸域では気温が上がり水蒸気量が増加するため降水量は増加する。
中緯度および亜熱帯の乾燥、半乾燥域では降水量は減少し、湿潤な中緯度域では降水量が増える。降水量の空間的変動が大きくなる。
短期的には気温の上昇に伴い、個々の低気圧の強度が増し、弱い低気圧の数が減る。
中緯度陸域の大部分と湿潤な熱帯域では、極端な降水現象が強度と頻度も増える。
これも大気中の水蒸気量が増えることが原因
○縮小する雪氷圏
積雪面積は平均気温の上昇とともに減少する。
21世紀の間、北極域の海氷面積が縮小し、厚さは薄くなり続けるだろう。
○海洋酸性化
大気中の二酸化炭素濃度の上昇に伴い、海水中に二酸化炭素が溶け込むと海水のpHが下がりアルカリ性が弱まる。これを海水の酸性化と言う。
海水の酸性化が進むと、水素イオン濃度が増加し、水素イオン濃度が増加すると炭酸カルシウムの殻の形成が困難になる。
○長期的な海面上昇
低位安定化シナリオでは:工業化以前に比し、2300年までに1mの水位上昇
高位参照シナリオでは1~3.5mの水位上昇
○累積総排出量に比例して世界平均気温が上昇する
人類が大気中に排出した二酸化炭素の総量によって、21世紀後半以降の世界平均の地表面の温暖化の大部分が決定される。<==AR5の結論
66%を超える確率で2℃未満に抑えるには、温室効果ガスの排出量を1兆トン以下に抑える必要がある。二酸化炭素排出量では7900億トン。(すでに2011年までに5150億トン排出しているので、2012年度の排出量が97億トンなので単純計算して後30年でこの限界を超える。
9月の学習項目
〇9月5日
第6章 気候のティッピングポイント
1.気候が不安定になるとき…………………本村
2.ティッピングポイントはくるのか………下田
〇9月19日
第7章 気候変動の影響
1.すでに生じている影響、予想される影響…………………中野
2.緩和策と適応策……………………………中野
(更新日 : 2019年09月07日)