森林文化学習会 7月

~森林を良く知ろう~    [森林観察学習部会]

2019.7.4  7.17

第3章 気候変動の過去と現在  吉江利彦さん(会員)の資料から

1 気候の温故知新 ―― 古気候学

古気候とは一般に、温気象測器で直接測れないほど昔の気候です。  気象測器による記録は100年程しかない。

○どのように過去の気候を推定するか
代替指標データを使って過去の気候を調べている。
代替指標データとして使われているデータには、樹木の年輪、花粉化石、洞窟内の石筍や氷筍、湖沼堆積物、海底堆積物、氷床下の氷などがある。
多く使われる手法は、同位体を用いた分析です。

○氷床コア
氷床コアの中に含まれている気泡を分析することによって、過去数十万年の寒暖の度合いや、二酸化炭素濃度などの大気組成がわかる。また、火山灰や塵も入っていて火山活動や砂漠が広がっていたかどうかが推定できる。

○時間と空間のスケール
代替指標には、サンプルが採られた地点のみの気候記録を代替しているものもあり、地域的な広がりをもった空間的代表性のあるものもある。
多くの代替記録を集めることで、ある時代の北半球高緯度の気温を現在と比べ統合する試みを続けている。

○時間スケールとメカニズム
数十万年かけて起こる気候変動と、異常気象とはメカニズムが異なります。
統合的に古気候代替指標データが収集され、将来の気候の定量的予測に用いられているのと同様な気候モデル※1による古気候シミュレーションが行われています。それによって過去の気候変動のメカニズムを調べるとともに、データとモデルの比較を通して、将来予測に用いる気候モデル※1の評価や検証も行われています。
※1:地球上の大気、海洋などの気候を長期的・量的にシミュレーションするもの。

○今は氷河時代のまっただなか
地球上に氷床が存在する時期を「氷河時代」といいます。氷床が大きく発達した時期「氷期」と、限られた地域のみに氷床が見られる時期「間氷期」の交代を繰り返してきました。最後の氷期は2万年前ごろに最盛期を迎え、現在は氷河時代の中の間氷期です。

○大陸移動
氷河時代は古くは24億5千万年前から何度か存在していて、この間、大陸配置が大きく変わるとともに、大気中の二酸化炭素濃度や大陸氷床の大きさも変動してきました。大陸配置は現在でも続いていて気候システムの重要な外部条件でもあります。

○過去の二酸化濃度
古い氷河時代以降でも大気中の二酸化炭素濃度が現在の10倍以上の時代もあり、世界平均気温が現在より数℃以上温暖な時代も珍しくはありません。
最近の6500万年間、気温の高い時代は二酸化炭素濃度の高い時代とほぼ一致していることがわかっています。

○古気候シミュレーション
約5000万年前と約350万年前の時代では収集された古気候代替指標データが統合化され、気候モデルによるシミュレーション結果との比較がなされています。約350万年前の二酸化炭素濃度は400ppmほどで、代替指標から海面水温は今より1.7℃高かったと推定されています。

○海面水位
海面水位の推定は世界各地の地質調査をもとにされていて、350万年前には約20m分、海面が高かったという報告があります。海面水位を再現するには氷床の消長の地質記録から海への正味の水の移動を推定するだけでは不十分でアイソスタシー※2を通じた地盤の変化を計算する必要がある。
※2:地殻が,密度のより大きいマントルの上に浮かんでいる状態にある,という現象のこと。


8月の学習項目
〇8月1日
第4章 21世紀の地球はどうなるか
1.未来の気候を予測する………担当 定成
2.21世紀の温暖化の進行………担当 井村
〇8月22日
第5章 日本の気候はどうなる
1.地域気候モデル………担当 石田
2.異常気象の変化………担当 井村e